極上文學『人間椅子/魔術師』
★★★★★
不気味とはまさにこの舞台のことを言うのだろう。
2011年に初演を迎えた、著名な日本文学を演劇で表現する舞台となる本格文學朗読演劇 極上文學の第11弾目の作品。
江戸川乱歩が著した『人間椅子』と『魔術師』の2つの物語を1つの舞台で表現し、それぞれのもつ不気味さを融合させた朗読演劇。
三面舞台での演出が空間の不気味さを作り出し、薄暗い舞台の上で情景を説明する朗読には緊張感が漂い、
出演者の動きや台詞回しが舞台を形作っていた。物や人を表現する具現師たちが影にもなり、情景にもなる。
「魅せる」ことを重視した演出で立体的な空間を作り上げ、文学そのものの世界観に観るものを引き込んでいく。
特に今回は三面舞台での演出をしたことで、より奥行きのある立体的な空間で、様々な演出を取り入れてより
不気味な江戸川乱歩の世界観に引き込まれた。
観終わったあとにも、何か気味の悪さが後を引く極上の舞台であった。(網走に咲く花)